アクティビストが大手・中堅ゼネコンの株式を次々と買い増している(上は尾形文繁、右下は編集部、左下は記者がそれぞれ撮影)

モノ言う株主(アクティビスト)で知られた村上世彰氏の流れを組む村上系ファンド。今回、彼らの新たな出資先が、東洋経済の取材で明らかになった。

村上系ファンドは目下、大手・中堅ゼネコンの株式を次々と買い増している。シティインデックスイレブンスやオフィスサポートといった会社を通じて、2019年末ごろから出資を始めたとみられる。

大量保有報告書によると、中堅ゼネコンの大豊建設株を22.52%(11月25日時点、以下同)、準大手ゼネコンの西松建設株を8.44%、海上土木に強い東亜建設工業を7.64%保有していることがわかっている。

複数の関係者ヘの取材で判明したのは、大手ゼネコンの前田建設工業への出資だ。前田建設工業は2020年に入り、グループ会社の前田道路に対する敵対的TOB(株式公開買い付け)で耳目を集めた(TOBは3月に成立し、前田道路を子会社化)。現在、「村上系ファンドがこの前田建設株を1%程度保有している」と前田建設の関係者は証言する。

「大豊建設株などをじわじわ買い増した状況からすると、村上ファンドの前田建設株保有比率もいずれ5%を超えてくるだろう」というのが関係者のもっぱらの見方だ。

村上世彰氏は中堅ゼネコン株に投資することで、何を狙おうとしているのか(撮影:梅谷秀司)

東洋建設や前田道路株も

前田建設はコロナ禍でも業績が安定推移している。完成工事の利益率が上向いていることから、11月11日には2021年3月期の通期見通しを修正。売上高6515億円(前期比33.5%増)、営業利益358億円(同5.2%増)と、期初の減益計画から一転増益になるとした。ただ、PBRは0.68倍(11月27日時点)と割安な水準にとどまっている。そのため、村上系ファンドが今後、前田建設株を買い増すことは十分に考えられる。

前田建設はグループ内に子会社の前田道路だけでなく、20.1%を出資する上場会社・東洋建設を持つ。村上系ファンドは前田道路株も100株程度と、ほんのわずかではあるが保有しているようだ。東洋建設も、同社が11月11日に提出した四半期報告書に、村上系とみられる「ATRA」が1.76%を保有する大株主として記載されている。

中堅ゼネコンに出資するファンド関係者は、「前田建設は前田道路株をおよそ50%取得しているが、これでは中途半端。前田建設は東洋建設に対しても、いずれ出資比率を引き上げていくのではないか」と指摘する。こうした動きを先取りして、村上系ファンドが今後、前田建設グループ各社の保有比率を高めたとしても不自然ではない。