すずき・まこと 1965年生まれ。89年日本大学卒業後、しまむら入社。2004年物流部長、11年取締役、18年企画室長などを経て20年2月から現職。物流やシステム開発の分野の業務に長く携わってきた。(撮影:今井康一)
衣料品大手・しまむらの回復が鮮明だ。コロナ禍で多くのアパレル企業が苦境に陥る中、6月以降ほとんどの月で既存店売上高が前年実績を超え、今2020年度は4期ぶりの営業増益を見込む。コロナ禍で復活を遂げた裏側、そして今後の拡大戦略とは。鈴木誠社長に聞いた。

賃料や広告費見直し低コストへ原点回帰

4年前まで25%以下だった販売管理費比率が、売り上げ低迷などで直近は28%に上昇。広告費や賃料を見直し26%へ引き下げ目指す。

──低迷の続いた既存店売上高がようやく回復してきました。

5月の大型連休後半から状況がガラッと変わった。緊急事態宣言が延長された頃で、他社が休業する中、当社は(路面店中心で)大半の店が営業を続けられたこともあり、たくさんの人が身近なしまむらに来るようになった。SNSなどでは「初めてしまむらに行った」「10年ぶりに来た」という声が多く、そのとき来店した顧客が順調にリピーターになっている。

外出着よりも家で使える衣料などがよく売れたが、コロナ禍では1カ月・4半期単位で商品の内容や投入量などの予算を臨機応変に変え、足りない商品は短納期生産でカバーした。結果として在庫を抱えすぎずに値引きも抑制できた。

──ここ数年強化してきた短納期生産での対応が生きた?

もともと今年の第1テーマに商品力と販売力の強化を掲げ、仕入れを行う商品部の人数を増やすなど、サプライヤーとの連携強化を進めていた。全社的に短納期生産の比率を3割まで高める方針だが、20〜30代の女性向け衣料はすでに7割くらいに達している。

衣料品市場はコロナ禍の前から顧客の選別消費が進んでいて、極端にいえば「要らないものはタダでも要らない」といった感じになっている。そうなると以前よりもっと細かく顧客ニーズを捉えて商品作りを行わなければいけない。従来は販売シーズンの約1年前から翌年のトレンドなどに関する情報を基に商品を作ってきたが、これからは実売期に入ってからの(足元の需要動向を見ながらの)商品作りが非常に重要になる。

──10月に始めた自社EC(ネット通販)は限定商品投入などに注力していますが、手応えは?