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「この制度を理由に再編するということは、ありえない」

ある大手地方銀行の頭取は、日本銀行が導入を決めた新しい制度をきっかけに地銀再編が進むのかと聞かれ、そのように答えた。

そして、「再編自体に価値がないとやる意味がない」と続け、再編の加速に否定的な見解を示した。

地銀の再編をめぐる議論が盛り上がるのは、今に始まったことではない。バブル崩壊やリーマンショックなど大きな危機が起き、業績が悪化するたびに浮上するものの、喉元過ぎれば熱さを忘れるで、業績の回復とともに話は消えていった。その後、異次元金融緩和によってマイナス金利になっても地銀の動きは鈍かった。

とはいえ、彼らが何も考えていないわけではない。どちらかというと、座して待っていれば死ぬしかないことは十分すぎるほどわかっているはずだ。

なぜなら、地元経済の縮小を肌で感じているし、マイナス金利によって本業不振に陥り、体力を消耗しているからだ。

にもかかわらず動かないのには、彼らなりの理屈があった。

「メガバンクなどと違って、地銀は地元から逃げることができないし、何があっても支え続ける。だからこそ地元では絶大な信頼を得ているんだ。再編に踏み切ってほかの地域の銀行傘下になったり、合併したりすれば、そんな顧客の信頼を裏切ることになってしまう」