大型国有企業「華晨汽車」がデフォルト 多くの債権者は財務危機を知りつつも予想せず

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「当社の資金繰りが一時的に困難になっているのは確かだ。社債を期限どおりに償還するのは難しく、問題解決に向け努力している」

10月23日の正午ごろ、華晨汽車集団の担当者は財新記者の問い合わせにそう答えた。そしてこの日の深夜24時、額面10億元(約157億円)の同社の社債「17華汽05」はあえなくデフォルトした。

華晨汽車は中国の遼寧省政府直属の自動車メーカーで、遼寧省国有資産監督管理委員会が発行済み株式の80%、遼寧省社会保障基金会が同20%を保有する。総資産1900億元(約2兆9790億円)を超える大型国有企業の社債がデフォルトするのは異例だ。

財新記者の取材によれば、華晨汽車は今年8月から資金繰りが苦しくなり、遼寧省国有資産監督管理委員会の主導するチームが経営を実質的に引き継いだ。このため、多くの債権者は同社の財務危機を知りつつも、政府の信用に期待してデフォルトは予想していなかった。

あるプライベートエクイティー・ファンドの担当者は、社債の償還期限前に自ら遼寧省に出張し、華晨汽車の状況について情報を集めた。その時点では、省政府の金融監督当局と地元金融機関が協議を重ね、社債の償還資金を地元銀行が融通することになっていたという。「だまされたという思いだ」と、この担当者は落胆を隠さなかった。

(財新記者:安麗敏、王娟娟、原文の配信は10月23日)

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財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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