かとう・たかお 1962年生まれ。京都大学工学部卒業後の84年に三菱自動車入社。名古屋製作所副所長やインドネシア合弁会社社長を経て、2019年6月から現職。(撮影:梅谷秀司)
過去の拡大戦略の失敗で深刻な業績不振に陥っている三菱自動車。販売回復が見通せない中、年間販売100万台程度の小規模メーカーをどう導くのか。加藤隆雄CEO(最高経営責任者)に聞いた。

──2016年に日産自動車と提携した後、欧米や中国などメガマーケットを軸にした拡大路線を志向しましたが、多くの目標は未達に終わりました。

前回の中期経営計画で掲げた拡大戦略では、とにかく販売台数を増やせばいいということで、インセンティブ(販売奨励金)もいっぱい使って、押し売りに近いような状況になっていた。加えて、欧米向けの新車開発がどんどん増え、人も設備も足りない。他社は新しいソフトウェアを導入し、われわれもやらなければということで、どんどんお金を使ってもいいのだというマインドが社内に生まれてしまった。

──提携先の日産も現在、カルロス・ゴーン元会長が進めた拡大戦略の後遺症に苦しんでいます。

当社が16年からアライアンスに加わり、販売台数が3社合計で世界1位になった。結果として、「アライアンスの言うとおりにやっていれば今後は大丈夫だ」という雰囲気があった。

日産や仏ルノーが持っている技術などアライアンスのアセットすべてが必ずしも自分たちのためになるわけじゃない。そこは当社が精査・検討をして、「こういうところは自社に取り入れるべきだ」という判断をきっちりやる必要があった。が、自分たちで中身を検証できていなかった。

──アライアンスでは、ゴーン氏と益子修・前会長(今年8月に死去)との良好な関係がベースになり、三菱自も一定の存在感を放ってきましたが、2人ともいなくなりました。