指揮台に立つバーンスタイン。20世紀後半のクラシック界を牽引した彼は、その情熱的な指揮でファンを魅了した(©Susesch Bayat/DG)

「きっとどこかに私たちの場所がある。平和と静けさと開放的な空が、どこかで私たちを待っている。私たちにも共に過ごす時が来る。見つめ合い、いたわり合う時がいつかきっと来る。どこかで新しい生き方を見つけよう。許し合うすべを見つけよう。手を取ってほしい。まだ道半ばの私の手を取って。連れていこう、いつかきっと、どこかに!」

これは、20世紀米国を代表する作曲家で指揮者のレナード・バーンスタインの代表作『ウエストサイドストーリー』を象徴する名曲『Somewhere』の歌詞を筆者が抄訳したものだ。30年前に亡くなったバーンスタインは、当時どんな思いを込めてこの物語に曲をつけたのだろうか。

『ウエストサイドストーリー』は、シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』から得た着想を、1950年代のニューヨーク西側地区の実情と融合させたミュージカルだ。ポーランド系とプエルトリコ系、2つの非行少年グループの抗争と、その結果犠牲になる若い男女、トニーとマリアの悲しい恋が描かれている。