アパレル通販大手ZOZOが10月に発表した「ゾゾスーツ2」(右)。旧製品(左)よりも高精度な体形データがわかる

新型コロナウイルスが猛威を振るった2020年も終わりが近づき、今年のヒット商品が発表される時期となった。ヒットの予測は難しい。例えば今年は「マスク」が入ったが、ユニクロの「エアリズムマスク」が売れるというのは1年前には予想だにしなかった。しかし、デジタル技術を使えば、ヒットの種が見つかる可能性がある。

DXとは業界そのものの定義を変えるものだ。「そんなことができるのか」という驚きにこそ変革の可能性が眠っている。テクノロジーの進化で技術的には可能であるにもかかわらず、その可能性を試さない大企業があまりに多い。

思い込みを打破するには、極端な世界を妄想してみるとよい。すべての消費者の考えていることがわかったら、ビジネスはどう変わるか。経済学でいう「情報の非対称性」がゼロの場合を前提とする極端な発想だ。そうした議論には、行動経済学やゲーム理論がわかる人間を巻き込むべきだろう。「GAFA」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などの米大手テクノロジー企業が経済学者を雇う理由はそこにある。

アパレル業界では、流行がベテランのデザイナーから始まることもあれば、新進気鋭のデザイナーが作ったものが徐々にSNSなどで注目を浴びることもある。前者は論理的な説明が難しいが、後者の場合、流行の兆しをEC(ネット通販)や「TikTok」、「インスタグラム」などのSNSのデータからつかむことができるかもしれない。アパレル企業が無数の試作品の反応を見ることは可能だ。すべての消費者の脳にアクセスするのはSF(サイエンスフィクション)の域になるが、その状態に近づくことはできる。