キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹 宮家邦彦
みやけ・くにひこ 1953年生まれ。78年東京大学法学部卒業、外務省入省。日米安全保障条約課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを経て2005年退官。09年から現職。20年10月内閣官房参与。(撮影:梅谷秀司)
バイデン政権の誕生が濃厚になってきた。同政権下で外交政策や日米関係はどう展開するのか。キヤノングローバル戦略研究所の研究主幹で10月から外交担当の内閣官房参与を務める宮家邦彦氏に聞いた。

今回、米国の民主主義のシステムは機能したと思う。米国の有権者は過去、失敗した大統領の反対党の候補に投票してきた。ウォーターゲート事件の後のカーター氏、カーター氏の後のレーガン氏、湾岸戦争の後のクリントン氏で、今回も米国の民主主義にはまだ復元力があることを示した。

しかし、今回の僅差の選挙結果が意味するのは、「トランプなきトランプ主義」、つまり、白人ナショナリズムやポピュリズム、排外主義、差別主義といった「ダークサイド」と呼ぶべき運動は生き残ったということだ。トランプ氏がいなくなっても、内向きのアンチワシントン、反エリート主義の部分は残っていて、今後も両極化が進んでいく。大統領は交代するが、より深刻な問題である両極化を止めるほどの力はなかった。今後、バイデン氏の下で米国民の団結と癒やしがどこまで進むか。