広州市の地下鉄は、スマホをのぞき込むマスク姿の乗客で大混雑

「困ることは何もない」。上海の日系メーカーで働く男性は、“アフターコロナ”の中国での生活についてそう言い切る。

上海や北京、広州など大都市を中心にデジタルサービスの実装が急速に進む中国。現地の駐在員は「コロナ前の日常を取り戻せた」と口をそろえる。さらにフードデリバリーやEC、Web会議など、コロナ以前から生活に根付いていたテクノロジーの、一層の普及と進化が新常態(ニューノーマル)をもたらしている。

腹がすけば、フードデリバリーアプリの「美団(メイトゥアン)」や「餓了麼(ウーラマ)」で注文すればいい。1.5キロメートル圏内であれば、30分ほどでレストランの料理が自宅に届く。電子決済アプリのウィーチャットペイやアリペイで支払うため、わざわざ玄関で現金を用意する必要はない。

美団などの基本的なサービス内容は日本の出前館やウーバーイーツと同様だ。配送料は、例えば出前館でマクドナルドの商品を注文すると420円。それが中国では、30分前後の配送時間ならば9元(約140円)だ。物価を考えると少し高いようだが、「期間限定のクーポンを使えば店に行くより安く食べられる」(北京のIT企業勤務の男性)という。

上海の別の駐在員は「以前はリアルのスーパーに行っていたが、(入国後14日間の)隔離を経験してからはネットで買うようになった」。理由は簡単。便利だからだ。

買い物はネットで完結

パンや牛乳をはじめ日常的な食品も、アリババ系の「盒馬(フーマー)」などのネットスーパーアプリで注文すれば、30分程度で家に届く。自宅とスーパーの往復時間を考えれば、店に行くより早いという。店頭では目当ての商品を歩いて探し回る必要があるが、アプリで検索すればすぐに見つかる。「1日1回までは手数料無料で使える。一人暮らしだし、1日1回で十分だ」(冒頭のメーカー駐在員)。