デジタル化の大きなうねりは中国企業の決算にも顕著に表れている。新型コロナウイルスの猛威に揺れた2020年初めはあらゆる産業の収益が落ち込んだが、アリババグループ、騰訊(テンセント)の2大デジタルプラットフォーマーをはじめネットサービスを提供する企業の収益は大幅に拡大した。4月以降、武漢など各都市での都市封鎖(ロックダウン)が解除され、経済活動がほぼ正常化してからも、不可逆的に成長を続けている。
東洋経済は、成長性や事業規模、技術力を基準に、現在の中国を代表する有力企業を「中国100強」として幅広い産業の中から独自に選出している。今回は新型コロナの影響が色濃く出た20年度1~6月期(上半期)と19年度通期の最新決算データを集計。その中で、20年度上半期の増収率、増収額、増益率、増益額の上位を並べたのが下のランキングだ(いずれも前年同期比、中国100強の業績一覧表は記事下に掲載)。
成長性ランキング
主に新興企業の成長性を示す増収率のランキングでは、ゲノム解析を手がける華大基因(BGI)の売上高が前年同期比約3.2倍と急拡大しトップに。これはとくに新型コロナ検査キットの需要によるものだ。日本でもシスメックスが同社製の検査キットの薬事承認を取得、医療機関へ提供している。
同2位はアニメなどを中心とした動画配信サービスのビリビリで、増収率は前年同期比7割に迫る。巣ごもり需要が追い風となり、月間ユーザー数が1.7億人に急増(19年度末は1.3億人)。ビリビリは今年4月にソニーの出資を受け業務提携を締結、アニメやモバイルゲーム分野で協力する。
大企業の成長性を示す増収額のランキングでとくに目立ったのが、デジタル化を進めるネット企業の躍進だ。約1.2兆円増とトップに立ったのはEC(ネット通販)大手の京東(JD.com)。同社の設立記念日、6月18日に実施される「618セール」は、11月11日の「独身の日」と並ぶ大規模商戦になっており、コロナ禍でリアル店舗の個人消費が落ち込む中、一手に需要を取り込んだ。EC好調を受けて広告収入や自社グループで手がける物流事業も急伸、上半期売上高は前年同期比28%増の約5.4兆円と業績を押し上げた。
