ユニクロの上海旗艦店。実店舗とECの連携は日本以上に進む(写真:ユニクロ)

かつて日本企業にとって中国といえば、人件費の安い「世界の工場」や世界一の人口を有する「巨大な市場」だった。だが、現在中国でビジネスを成功させている企業は、中国をデジタル戦略の最前線と認識している。

「中国だけで3000店舗は十分可能だ」。10月の決算会見で、ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正・会長兼社長はそう断言した。

ユニクロの中国事業(香港・台湾を含む)の前2020年8月期の売上高は4559億円。新型コロナウイルスの影響で減収だったものの、5年前比で1.5倍に拡大し、ファストリ全体の2割強を稼ぐ収益柱だ。8月末時点での中国本土の店舗数は767店に増え、今21年度には国内ユニクロ(813店)を抜く可能性が高い。

柳井会長が自信を抱く背景には、デジタルを駆使した販売戦略の成功がある。代表例がEC(ネット通販)の成長だ。ファストリは売上高のEC比率を30%に引き上げる中期目標を掲げるが、国内ユニクロの前期実績は13%。一方で中国は25%と先行する。

スマートフォンアプリなどでの購買が広く浸透している現地事情に加え、実店舗とECの在庫連携が進んでいる効果も大きい。国内ではEC注文商品はすべて専用倉庫から購入者宅や店舗へ発送されるが、面積が広い中国本土では店舗も倉庫の役割の一端を担う。