中国各地の街中を走っている美団のドライバー

アリババグループの司令官が交代して1年。創業者の馬雲(ジャック・マー)の跡を継いで「アリババ経済圏」の舵取りを任された、会長兼CEOの張勇(ダニエル・チャン)が、競合勢力に対して守りを固めるのは容易ではない。

過去1年の間に、アリババの株価は60%も上昇し、時価総額は7523億米ドル(79兆円)に達した。世界の時価総額で5000億ドル(53兆円)を超える企業の中でも、アップルとアマゾンに次ぐ成長ぶりで、最大のライバルである騰訊(テンセント)も追い越した。

しかし、競合となる新興企業を見渡すと、フードデリバリーサービスの美団(メイトゥアン)の株価は1年の間に3.4倍に上昇し、時価総額は約1800億ドル(19兆円)に達している。また、共同購入型の低価格EC(ネット通販)を展開し、EC業界のダークホースとも呼ばれる拼多多(ピンドゥオドゥオ)の株価も3.3倍に上昇、時価総額は1000億ドル(10兆円)に達した。

アリババが運営する中国最大のECサイト「天猫(Tモール)」と長年競合関係にある京東(JD.com)も低迷期を脱し、一時は時価総額が1200億ドル(12兆円)に達した。これは1年間で3倍近い増加だ。

それぞれの企業の時価総額はアリババにはまだ遠く及ばないが、その背後にはある存在が見え隠れする。テンセントだ。「京東や美団、拼多多といったテンセントが出資する3つのネット企業は、すでにEC市場の版図をめぐってアリババと争えるところまで来ている」と、拼多多のある長期スポンサーは話す。