みずほ総合研究所の小野亮氏は「『バイデン不況』は起きない」と語る(撮影:風間仁一郎)
11月3日に投開票されたアメリカ大統領選挙は民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)が当選を確実なものにした。
窮地に立つドナルド・トランプ大統領(74)は何の根拠も示さないまま選挙に「不正」があると主張し、法廷闘争で対抗。法廷闘争の行方はなお不透明で、最終確定には時間を要しそうだが、バイデン大統領就任はほぼ揺るがないとみられる。
バイデン政権の経済政策やアメリカの景気への影響、金融政策の見通しについて、みずほ総合研究所で理事・フェローを務める小野亮氏に聞いた。

残る米国内の深い分断

――アメリカの政治経済を長年ウォッチしてきた立場から、今回の大統領選にどんな印象を持っていますか。

アメリカ国内の「分断」が非常に深いことがよくわかる選挙となった。私自身、バイデン氏有利と見ていたが、この4年間のトランプ政権に対する批判的な意見や変革を求める願いが強く出ていた気がする。一方でトランプ支持者の再選願望も強く、双方の深い溝が改めて明らかになった。

自分が正しい、意見の異なる相手を認めないというトランプ氏の姿勢が分断を深めた。リーダーには従来、言ってはいけないことを慎む「ポリティカル・コレクトネス(政治的妥当性)」が重んじられてきたが、トランプ氏はそれを言葉にしてしまった。日本人的に言えば、そうした「言霊」の影響がアメリカ国民へ広がってしまったことが分断を深めたのではないか。

民意の変化は連邦議会にも表れており、近年の議会の立法件数は過去最低の状況にある。党派対立が加速し、「決められない議会」になっている。これはまさに国民の意識の対立を反映したものだ。

――バイデン政権になれば経済政策はどう変わるでしょうか。

格差拡大や気候変動対策など、アメリカに残された構造問題の解決に向けて動き出すことになろう。上下院の議会は引き続き、ねじれ状態になるため、実現度合いは微妙になるが、目指す方向感は税制改革やインフラ投資、環境関連の規制改革や国際的枠組みへの参加など、トランプ政権とは違った政策が採られるだろう。

――トランプ氏は「バイデン政権になればひどい不況が起こる」と主張していました。