広告業界で動画広告の勢いが止まらない。今年3月に電通が発表した2019年の国内統計「日本の広告費」で、インターネット広告費が地上波テレビ広告費を初めて超えた。中でも最大の伸び率だったのが動画広告だ。19年は前年比57%増の3184億円だった。

牽引役がユーチューブの広告だ。広告代理店幹部は「動画広告ならまずユーチューブ。顧客への企画提案でも必ず入れるようになった」と話す。またコロナ禍の影響で「テレビ広告の予算を縮小し、大半をユーチューブに移行させた顧客もいる」(代理店関係者)。

それだけ注目を集める理由は4つある。1つ目はユーザー数。調査会社・ニールセン デジタルによれば、国内の月間利用者数は昨年12月時点で6300万人超と、グーグル本体やヤフーに次ぐ規模になった。

2つ目は広告が流れる“場所”。一口に動画広告といっても形はさまざまある。フェイスブックのようなSNSでは投稿の合間に表示されたり、ウェブサイトの中に埋め込まれていたりもする。その中でもユーチューブのように、動画の再生前後や最中に流れる広告は、「視聴者が動画視聴に集中している状態で接触するので、ほかのものとは一線を画す」(大手広告代理店のメディア担当者)。

3つ目はターゲティングの精度だ。グーグルは検索など自社サービスの利用履歴に加え、ユーチューブの視聴履歴を基に、ユーザーの属性や興味・関心を推測する。スポーツの中でもサッカーが好き、車の中でも高級車が好き、といった具合に細かなカテゴリー分けも可能。20~30代女性の視聴者が多い番組に出稿するといった手法の多いテレビ広告とは対照的だ。