たかい・ひろゆき 神戸大学経営学部卒業、住友商事入社。英国ロンドンで、貴金属や銅・アルミなどの取引を担当。金融事業本部長、エネルギー本部長を経て、2013年住友商事グローバルリサーチ社長、18年同社ワシントン事務所長。20年7月から欧州エネルギー取引所グループ上席アドバイザーに転じる。(撮影:梅谷秀司)

世界が続々脱炭素に動き始めている。菅政権も2050年までに温室効果ガス実質ゼロを宣言した。G7(主要7カ国)の中でビリから2番目と少々気まずいが、評価すべきだ。中国も10月末の5中全会(第19期中央委員会第5回全体会議)で60年までに炭素中立経済を実現する方針を発表。これで120カ国(全世界の6割に相当)が今から30~40年後までに温室効果ガス排出の実質ゼロを宣言したことになる。

中でも世界最大の排出国である中国の脱炭素化宣言は、世界の資源エネルギー市場に与えるインパクトが大きい。中国は25年までにEV(電気自動車)比率を25%に高め、風力と太陽光発電を強力に推進する計画である。風力発電は25年まで年間50ギガワットのペースで増やし、電力グリッド網にこの先5年間で6兆元(約93兆円)を投資して整備する。化石燃料、とくに石炭と石油に依存してきた経済構造が180度転換することになる。

中国と並ぶ排出超大国の米国はトランプ政権下で世界の潮流に逆らう政策を取ってきた。本誌が出るころには新大統領が決まっていると思われるが、下馬評どおりにバイデン政権となれば、大きく出遅れていた米国も脱炭素に向けて舵を切ることになりそうだ。