「国家のなすべきことは3つある」 インタビュー③/デジタル通貨・国際通貨体制とMMT

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【ワンポイント解説】
MMT(Modern Monetary Theory)

ポストケインズ学派の流れをくみ、貨幣が実体経済に与える影響を重視するマクロ経済学説。「政府・中央銀行はいつでも自国通貨を発行できるため、国家は自国通貨建てであれば、どのような債務も返済できる」と主張する。ただ、「インフレは制御する必要があり、インフレ圧力が高まるときは増税や支出削減によって、市中の通貨を回収・抑制してインフレ圧力を相殺する必要がある」とも説く。

CBDCは政府の緊急時への対応力を高める

――中国人民銀行がデジタル人民元の実用化を計画するなど、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)に注目が集まっています。MMTの視点からは何が言えますか。

MMTの視点で語れることはあまりない。ただ少なくとも言えるのは、CBDCはいずれ導入されるし、政府は将来、競合的な仮想通貨(ビットコインなど)が広く存在する結果にならないようにしたいと考えているということだ。

人々が欲しているのは、現金より優れるデジタル通貨の利便性だ。加えて安全に、匿名性を持ってアクセスできる環境も欲している。政府としては、仮想通貨が乱立することによって通貨システムが弱体化することを避けなければならないだろう。

――MMTの考え方は、CBDC全盛時代になっても機能しますか?

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