松戸市は千葉県の北西部東葛飾地域にある人口49万8000人の街だ。下総(しもうさ)台地の西端にあり、南北に流れる江戸川に接する。江戸時代には水戸街道の宿場町としてにぎわい、江戸川を通じて日本橋に多くの物資が輸送される水運の街としても栄えた。有名な「矢切の渡し」は、当時、松戸と対岸の金町を結ぶ貴重な交通手段だった。石本美由起作詞、船村徹作曲の演歌『矢切の渡し』はこの矢切を舞台にした曲だ。1976年にちあきなおみが歌ったのを皮切りに、多くの歌手に歌い継がれ、83年には細川たかしが第25回日本レコード大賞を受賞した。

松戸市下矢切と東京都柴又を往復する「矢切の渡し」。江戸川の両岸に田を持つ農民の江戸との往来から始まった(photolibrary)

この街が脚光を浴びるようになったのは、60年代以降。首都圏で膨れ上がる人口の受け皿として、住宅団地が大量に建設されたのだ。東京都心から20キロメートル圏、都心に通勤するサラリーマンたちが、続々と分譲される松戸市内の団地を購入し、人口は急増した。