今年4月、第二東京弁護士会は会員に対する退会命令の懲戒処分を公表した。村越仁一弁護士(42期、67歳)。登録31年目のベテランだ。訴訟提起の意思がないにもかかわらず依頼者から着手金250万円をだまし取ったというのが理由である。退会命令は除名(資格を3年間剥奪)に次ぐ重い処分で、弁護士業務再開の道は事実上閉ざされている。

実は、過払い金返還請求バブルの裏側で、村越氏の動向はここ数年ひそかに注目されていた。そして、今年6月に破産した「東京ミネルヴァ法律事務所」との接点も一部でささやかれる人物だ。

6月に破産した東京ミネルヴァ法律事務所には管財人の告示書が掲示されていた

同事務所が放り出した負債50億円超の大半は依頼者からの預かり金。法曹界で前代未聞の不祥事だが、背後では消費者金融大手、武富士のOB人脈がうごめいていた。2012年以降、6回もの懲戒処分を受けた村越氏はそんな怪しげなネットワークにとって便利な駒だった可能性がある。

千葉県内にある自宅の登記簿を見ると、村越氏が転落した軌跡をうかがい知ることができる。差し押さえ登記がなされたのは06年のこと。債権者は東京都千代田都税事務所。要は税金の滞納だ。

何度かの挑戦を経て37歳でやっと弁護士になった村越氏は7年目の1996年ごろ、都内で「平河町総合法律事務所」を開いた。その頃のクライアントの1つが武富士だったとみられる。ただ、事務所経営はその後、傾いたのだろう。開業10年後には都税も払えなくなっていたわけである。10年には自宅の競売開始もいったん決まっているから、火の車だったはずだ。