菅氏の二階派優遇人事には他派閥から「やりすぎ」との声が絶えない(毎日新聞社/アフロ)

「菅さんって、マイクロ・ミクロ政策にしか関心がない方だと思いますよ」──。菅義偉首相のマクロ経済政策のブレーンは誰ですかと、霞が関幹部に尋ねた際の答えである。

以下は10月13日付で内閣官房参与に任命された6人の顔ぶれだ。デジタル政策担当=村井純慶応大学教授、経済・財政政策担当=高橋洋一嘉悦大学教授、感染症対策担当=岡部信彦川崎市健康安全研究所長、経済・金融担当=熊谷亮丸大和総研チーフエコノミスト、産業政策担当=中村芳夫経団連顧問、外交担当=宮家邦彦立命館大学客員教授。

菅政権は同16日、第2次安倍晋三政権で成長戦略を担った「未来投資会議」を廃止、新たに設置した「成長戦略会議」(議長・加藤勝信官房長官)の有識者メンバーを発表した。慶応大学の竹中平蔵名誉教授、小西美術工芸社のデービッド・アトキンソン社長、国際政治学者の三浦瑠麗氏、日本商工会議所の三村明夫会頭、三井住友フィナンシャルグループの国部毅会長、SOMPOホールディングスの桜田謙悟社長、ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子会長、フューチャーの金丸恭文会長兼社長の8人である。

この陣立てを見ると、経済人は三村、国部、桜田、南場、金丸の各氏、経済学者が竹中、高橋両氏、そしてエコノミストは熊谷氏ただ一人である。際立つ存在は、英国出身でゴールドマン・サックス出身のアトキンソン氏だ。インバウンド(訪日外国人客)の増加政策で菅氏に助言をして絶大な信頼を得ているとされる。マクロ経済政策の助言者が少ないのは、菅氏自身が関心を持たない故だろうか。

冒頭の会話に戻る。マクロ経済政策について質問されたことがないと語ったその官僚は次のように言う。「菅首相から日本をどのような国にしたいのか、いわば国家ビジョンを聞いたことがありません。外交が不得手だとは言いませんが、はたして安倍さんのように、トランプ(米大統領)やプーチン(ロ大統領)とテタテ(通訳のみ)の首脳会談をやれるでしょうか」。