三菱重工業が取り組んできた旅客機スペースジェット(旧MRJ)が事実上の事業断念に追い込まれた。当初、2013年としていた初号機納入は延期を6度繰り返し、いまだ時期を見通せない中、コロナ禍による航空機需要の蒸発にとどめを刺された。

このことに驚きはない。これまで約1兆円を投じてきたが、資産計上していた開発費の全額を20年3月期までに減損済み。今年6月から7月にかけては開発体制も縮小していたからだ。

では、ジェット旅客機に挑む戦略は間違いだったのか。結果を考えれば、「正しかった」とはいえないが、それなりに「理」はあったのではないかと感じている。

事業参入を決めた当時、世界の航空旅客は右肩上がりで成長すると考えられていた。コロナ禍前まではそのとおりだった。三菱重工が狙った短距離市場には強豪2社がいたが参入余地はあったと思う。