今年7月発売の村上春樹氏の短編小説集『一人称単数』と、作品中に登場するクラシック音楽のCD

今年もノーベル賞受賞者が発表された。文学賞には米国の詩人ルイーズ・グリュック氏が選ばれ、川端康成、大江健三郎氏に続く日本人受賞への期待は来年以降へ持ち越された。だが、毎年のように本命視される村上春樹氏は周囲の騒ぎもどこ吹く風。淡々と作品を発表し続けている。

彼の小説の特徴の1つが、作品中に登場するクラシック音楽だ。最近では、『騎士団長殺し』にモーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』、『1Q84』にヤナーチェク『シンフォニエッタ』が登場し、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』では、リスト『巡礼の年』から「第1年スイス」の「ル・マル・デュ・ペイ」(郷愁)が物語の重要なカギとなった。こうした音楽までもがメディアで取り上げられて話題になり、コンサートで盛んに演奏されるようになるのだから、影響力は絶大だ。