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「私たちは市街地再開発事業に対しても当然、見方や考え方を大きく変える必要があります」

8月、東京都港区高輪の周辺住民442名が、港区長に対してこのような要望書を提出した。都営浅草線泉岳寺駅前で進む再開発の見直しを求める内容だ。計画では、地上40階前後の複合ビルが建設される予定だ。

「再開発そのものに反対しているわけではない。だが、テナントが埋まらなければ、再開発の事業採算性も変わってしまう」。地権者の一人である坂本穣治氏は訴える。「コロナ禍で社会のあり方が変わった。都心のオフィスや住宅は今後需要があるのか、立ち止まって考えるべきではないか」。

各地で上がる悲鳴

首都圏に限っても、あちこちで街の新陳代謝が進んでいる(記事下表)。一般的な再開発では、構想から地権者の合意形成、行政の許認可取得、建設まで、長い期間を要する。事業者や地権者を悩ませるのは、途中で計画を狂わせるアクシデントに見舞われることだ。

福島県郡山市の郡山駅前で進む再開発は、今年8月に「再始動」した。もともとは139戸のマンションなどを開発する予定で、2000年代から構想が進んでいた。だが、08年のリーマンショックにより不動産市況が急悪化。マンション開発の事業性が狂ったことから、10年に凍結となった。その後は市況の回復を受けて18年から再開を模索し、今年8月には野村不動産が参画することが決まった。