期待収益の悪化でホテルや商業施設向けの融資は縮小している(撮影:今井康一)

「貸せるところと貸せないところの差が一段と鮮明になっている」。不動産向け融資を担当する首都圏の銀行員は、近頃の融資環境についてそう語る。

新型コロナウイルスの猛威が広がり始めた3〜4月、銀行業界では、不動産向け融資を厳格化すべきだという見方が強まった。外出自粛で飲食店などの収入が激減し、商業用不動産の家賃収益低下がはっきりし始めたからだ。しかし、苦境に陥った企業への実質無利子無担保融資を日本政策金融公庫や民間銀行がスタート。政府からの家賃支援給付金も始まった。足元で不動産向け融資全体を絞る動きにはなっていない。

しかし、子細に見ていけば話は別だ。融資できる不動産とできない不動産の差が開きつつある。

貸せない不動産の代表として真っ先に挙がるのがホテルだ。国内外の移動制限によって稼働率が大幅に低下。訪日外国人需要の回復もしばらく見込めない。「今のホテルのように貸し倒れリスクの高い案件は、貸出金利をいくら引き上げてもそのリスクをカバーできない」(前出の銀行員)ため、どうしても、融資するか、融資しないかの2択になってしまう。

大手銀行、りそな銀行の福田修平・不動産アセットマネジメント室長によると、「コロナ禍以降もホテル向けの新規融資はあった。しかし、実行したのは他の事業も含めた資金が豊富な借り手向けに限られる」という。