(注)本誌2019年8月24日号、および20年8月22日号特集「すごいベンチャー100」に登場した企業を中心に9月中旬から9月25日にかけてアンケート調査を実施。31社から回答を得て集計した

ベンチャー企業の本音は「オフィスは必要」──。

コロナ禍で在宅勤務が拡大し、「オフィスは不要」という意見が散見される中、身動きが取りやすく、意思決定も早いベンチャー企業に独自調査したところ、意外な結果が出た。

本調査は9月中旬から下旬にかけ、本誌の過去の「ベンチャー特集」に登場した企業などを対象に実施。菓子の定期購入サービスを手がけるスナックミーなど31社から回答を得た。

菓子の定期購入サービスを手がけるスナックミーの服部代表

「コミュニケーションを通して、新しいビジネスアイデアが生まれる場所。コロナ禍におけるもろもろのリスクを取ってでも、投資すべき場所だ」と語るのは、AnyMind Groupの広報担当。同社はネット直販を支援する典型的なIT企業だが、オフィスこそ投資すべき場所と位置づけている。

そのほか、「働く場所というよりは、人間関係やカルチャーをつくりメンテナンスしていく場所になる」「リモートワークだけでは円滑なコミュニケーションが取れない」「オフィス自体は必要で新しい役割が求められるようになる」と、定義や活用方法の見直しが不可欠としながらも、おおむね「オフィスは必要」との認識だった。

回答企業のうち6割超が「オフィスを移転する予定あり」または「検討中」だという(記事下図表Q4)。意思決定に時間がかかりがちな大手企業とは違い、身軽なベンチャーならではの動きといえる。移転の理由としては「テレワークの導入」「固定費の削減」が最多で、「社員数の増減」が続いた(Q5)。移転はオフィス面積を減らすためだけではない。

前出のAnyMind Groupはコロナ禍の今年4月、アークヒルズ仙石山森タワーから六本木ヒルズ森タワー(ともに東京・港区)へ移転、面積を約4.6倍にした。「ユーチューバー関連ビジネスの成長に伴うスタジオの設置、人員増加への対応」(広報担当)のためだ。席数を当初予定の300から250へ減らし、密にならない環境を整えた。

オフィス選びの際に重視する点には「賃料の安さ」「立地のよさ」を挙げる企業が多い(Q6)。移転先候補としては都心5区(渋谷区、千代田区、中央区、港区、新宿区)が圧倒的だ(Q8)。在宅勤務の拡大で「オフィスの郊外移転が進む」との見方もあるが、都心人気は変わらないようだ。