身軽なIT企業を街にどう呼び寄せるのか。「渋谷」の価値が問われている(撮影:尾形文繁)

オフィス市場を語るうえで何かと話題に上る渋谷。中でもとくに動向が注目されていたのが、2012年に開業した渋谷ヒカリエだ。一時は坪単価で5万円という、大手町や丸の内と肩を並べる賃料水準を視野に入れるなど、スタートアップの熱狂に沸く都市を代表するビルだった。

移転は「第2波」へ

ところが、この10月に32~34階の3フロアを賃借していたKDDIが退去。テレワーク全盛という向かい風の中、抜けた約2000坪を埋め戻せるのか。オフィス市場を占う試金石として、業界は固唾をのんで見守っていた。

結果はどうだったか。「メドはついた。想定よりスムーズに決まった。渋谷の中心に立ち、採用に有利な点も評価された」。ヒカリエを保有する東急のビル運営事業部・福島啓吾主査はほっとした表情を見せる。賃料も坪4万円台半ばという高水準で成約したもようだ。

固定費削減と在宅勤務の拡大によって、オフィスは不要になる──。世間で叫ばれる印象と、ヒカリエの動きはやや異なる。経営状況が厳しい企業によるオフィスの解約・移転が相次いだ「第1波」は過ぎ去り、本当に必要なオフィスを考える「第2波」へと移行しつつあるからだ。