週刊東洋経済 2020年10/31号
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9月29日、毎年恒例の「都道府県地価調査」が発表された。全用途平均は3年ぶりの下落。ただ、コロナ禍のあおりを食らった7月1日時点の調査であり、悪化自体は織り込み済みだった。

むしろ話題を呼んだのは、同じ不動産の中でもくっきりと明暗が分かれたことだ。地価の公表を受けて大手デベロッパー各社が発表したコメントには、「用途や地域、立地条件により様相が大きく異なる」(東京建物の野村均社長)、「立地と規模の両面から不動産価値の二極化が進む」(森トラストの伊達美和子社長)といった文言が並ぶ。

上昇一辺倒だった昨年までは、「オフィスの空室が出てもすぐに後継テナントが決まった」(オフィス仲介会社)、「ホテルを建てればすぐに買い手がついた」(都内のデベロッパー)。そんなわが世の春は過ぎ去った。「時代の転換点にあり、さまざまなデータをどう読み解くのかがこれまで以上に重要な局面」(野村不動産の宮嶋誠一社長)という。

次のオフィスビル供給ラッシュは2023年に訪れる。その頃まで熱狂は続くだろうか(Getty Images)

とはいえ、現状では、「長期的な視点では市況を悲観的に捉えていない」(東急不動産の岡田正志社長)といった見方が大勢だ。不動産業は実体経済に対する遅行性があり、日銀短観の業界別先行き見通しでも景況感は依然として悪くない。不動産売買についても、緊急事態宣言中こそ外出自粛の影響で取引が停滞したものの、海外からの資金流入は続いている。