正規と非正規「格差訴訟」 判断が分かれた最高裁判決

拡大
縮小

相次いで出た最高裁判決。非正規労働者の待遇は改善するのか。

日本郵便の訴訟で全面勝訴の判決後、記者会見に臨む原告ら

「時代の扉が動く音が聞こえた。とてもうれしい判決です」──。

日本郵便の契約社員が年末年始の待遇や病気休暇などについて、正社員との格差是正を求めた3つの訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷は10月15日、格差は不合理で違法だとし、原告側の主張をすべて認めた。

裁判は郵便配達業務などを担当する契約社員らが東京、大阪、佐賀の3地裁に起こした。正社員にはあるのに契約社員にはない扶養手当、年末年始勤務手当、年始の祝日の割増賃金、夏期冬期休暇、有給の病気休暇の5つについて、これらの格差は労働契約法20条(現在のパートタイム・有期雇用労働法8条)が禁じる正社員と非正社員との「不合理な格差」に当たるかが争われ、下級審の判断が分かれていた。

最高裁の判決は、年末年始勤務手当は年賀状シーズンの最繁忙期に働いたことが支給要件で、その趣旨は契約社員にも当てはまると指摘。継続的な雇用を確保する目的があるとされた扶養手当も、継続的な勤務が見込まれる契約社員も対象になると判断した。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内