ルポ 新大久保 移民最前線都市を歩く(室橋裕和 著/辰巳出版/1600円+税/366ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊誌記者を経てタイに移住。現地発の日本語情報誌に在籍し、10年にわたりタイおよび周辺国を取材する。帰国後はアジア専門のライター、編集者として活動。『日本の異国』『バンコクドリーム』などの著書がある。

東京・新大久保といえば韓国のイメージが強い。韓流アイドルの関連グッズや化粧品を求めて客が押し寄せる光景はテレビでもおなじみだ。だが、コリアンタウンとしての顔は一面で、今や「東南アジアの下町」の様相が色濃くなっているというから驚く。本書では、新大久保に魅了され引っ越しまでしてしまった著者が、多国籍タウンの今を描いている。

階下から香辛料の匂いが立ち上り、民族調の音楽がどこからか聞こえてくる。窓の外に目を向けると、ムスリムのおばちゃんがベランダで洗濯物を干している。これは東南アジアのどこかの都市ではない。著者が住む大久保2丁目の光景だ。大久保2丁目は住民の3割以上を外国人が占めると聞けば納得だろう。

なぜ新大久保に外国人が集まるようになったのか。インフラが整っていたことが最大の理由と著者は指摘する。戦前から留学生を支援する日本語学校があり、今も日本語学校や専門学校が多い。また、新宿の歌舞伎町に近接しているため、そこで働く韓国人ホステスが住み始め、外国人向けの店も増えていった。