理化学研究所に設置された「富岳」。約16万個のCPUを搭載する(写真:理化学研究所)

「2位じゃダメなんですか?」

2009年、民主党政権発足直後に行われた事業仕分けで、蓮舫議員がスーパーコンピューター「京」についてこう言い放ってから11年。その京の後継機として、引き続き理化学研究所と富士通が共同開発した次世代スパコン「富岳」が、スパコンの計算速度を競う世界ランキングで首位を獲得した。開発投資額は官民合わせて約1300億円に上る巨大プロジェクトで、8年半ぶりの首位奪還に関係者は沸いた。

富岳は1秒間に41.5京回(京は1兆の1万倍)の計算性能を誇り、2位以下に大差をつけて首位に立った。単純な計算速度だけでなく、人工知能(AI)の演算やビッグデータ解析など計4つの主要ランキングで首位だ。

「ベンチマークのために作ったものではない。こだわったのはさまざまなアプリケーションで最高性能を出すことだ」と、開発責任者の松岡聡・理研計算科学研究センター長は強調する。

富岳の中核を担うのが、新たに開発された国産CPU「A64FX」だ。回路の線幅は7ナノメートルと世界最高水準を達成。計算速度は京の数十倍で、従来の米国トップクラスのCPUの3倍に上る。一方で消費電力は京の2~3倍程度に抑えた。富岳にはこのCPUが約16万個搭載され、一つひとつを高効率のネットワークで結んで制御している。