三井住友銀行出身の車谷社長は株主との対話に腐心している(撮影:尾形文繁)

キオクシアホールディングスの新規上場延期は、東芝にとっても誤算だ。

キオクシアの株主である東芝は、キオクシア上場で保有株の約2割を売り出し、売却で得られる金額の過半を株主に還元する方針を表明していた。当初想定の1株当たり公募・売り出し価格3960円ですべて売れれば約1600億円。そこから税金などを引いた手取り金が約1000億円、その過半、約500億円を株主還元に充てるはずだった。

しかし9月28日、キオクシアが上場延期を発表すると、東芝の株価は一時約9%も下落した。不透明になった株主還元が嫌気された。

東芝がキオクシア株の売却を表明したのは6月下旬。上場の詳細が決まっていない時期であり、異例の早さだった。このタイミングで発表したのは、株主総会を7月末に控え、アクティビスト(モノ言う株主)の強硬姿勢を抑える狙いがあったことは明らかだ。