週刊東洋経済 2020年10/24号
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「AI(人工知能)が進歩させる自動化は、これまでとはまったく違ったものになる」

10月5日、オンラインで開かれた米半導体大手エヌビディアのテクノロジーコンファレンス。革ジャンがトレードマークのジェンスン・フアンCEO(最高経営責任者)はそうぶち上げた。

同社はもともとゲームグラフィックス向けGPU(画像処理半導体)で有名だったが、今はそれを応用したAIや自動運転向けの半導体で頭角を現している。今年7月には王者・米インテルを株式時価総額で抜き、市場からの期待は高まるばかり。フアンCEOが見据えるのは、産業革命に匹敵するインパクトだ。

自社製品を手に演説するエヌビディアのジェンスン・フアンCEO。目指すはAI時代の半導体覇者だ(AFP/アフロ)

トヨタを上回る時価総額

電気回路の一種にすぎない半導体がかつてないほど重要性を増している。次世代通信規格5GやAIの普及に伴い、あらゆる産業機器や身の回りのものがIoT(モノのインターネット)でつながる世界が近づいている。くしくも新型コロナウイルスの感染拡大で、そのスピードは上がった。

米調査会社IDCは5月、今後3年間に作成されるデータの総量が、過去30年間分よりも多くなるという驚くべき予測を発表した。世界中で爆発的に増え続けるビッグデータを高速処理して情報を伝達する主役が、まさに半導体だ。

半導体企業の市場評価もうなぎ登りだ。時価総額は過去10年で、半導体受託製造最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が約10倍、エヌビディアは約60倍に高騰。自動車の雄・トヨタ自動車をも大きく上回っている。内燃機関中心だった自動車は構造が一変し、自動運転や電気自動車時代には半導体がカギとなる。半導体の競争力は多くの業界に影響を与え始めた。

もっとも、株価は将来期待される収益を織り込んで形成されていくが、半導体企業は業績拡大のペースをはるかに超える株価上昇になっており、エヌビディアの株価収益率(PER)は実に100倍を大きく超える水準だ。