もりた・ちょうたろう 慶応義塾大学経済学部卒業。日興リサーチセンター、日興ソロモン・スミス・バーニー証券、ドイツ証券、バークレイズ証券を経て2013年8月から現職。日本国債市場での経験は通算で20年超。グローバルな経済、財政政策の分析などマクロ的アプローチに特色。(撮影:大澤 誠)

10月初めに発表された9月の米国雇用統計では、非農業部門の雇用者数が事前予想の前月比86万人増に対して66万人の増加にとどまり、景気回復の鈍化を示すものといわれた。日本でも日銀短観の業況判断DIが大企業製造業でマイナス27とやはり事前予想のマイナス24を下回り、同様のことが指摘された。実際、日米とも夏場の新型コロナウイルス感染者数の再増加によって景気回復の足取りが影響を受けた可能性は高い。そして、エコノミストやメディアも判で押したように、「コロナ後の景気回復は緩やか」という説明を繰り返している。

しかし、米国の雇用者数の動きを過去の景気後退局面と比較してみると、例えば2008年秋のリーマン危機に伴う景気後退局面では、底打ちした10年以降の増加ペースはほぼ一貫して月約16万人であった。景気回復の初期段階においてさえ、多い月で30万人台、少ない月では10万人以下の増加であった。その意味では、今回の月66万人という増加数は極めて大きい数値といえ、リーマン危機時の約4倍という「急速」なペースで回復が進んでいることになる。