本来存在しない能力差が差別で現実となりうる 最適と思える意思決定に潜む問題とは

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人種や民族、性別などの社会的カテゴリーに基づいて対応を変えることを、差別と呼ぶ。米国の公民権運動や南アフリカにおける人種隔離政策の廃止など、われわれの社会は長い時間をかけて「差別のない世界」を目指してきた。にもかかわらず、昨今のBlack Lives Matter(BLM)運動からも明らかなように、現代社会は差別のない世界とは程遠い。

本稿では、個人をはじめ意思決定を行う主体が他者を差別する際、その背後にあるメカニズムや、それによって起こりうる現象について、経済学の知見を紹介する。経済学の世界では、個人が他者を差別する背後に、大きく分けて2つのメカニズムを考えている。「好みによる差別」と「統計的差別」だ。

好みによる差別とは、読んで字のごとく「好き嫌い」によって他者を差別することだ。好みによる差別では、「A国人とは一緒に働きたくない」「B国人が嫌いだから嫌がらせをしよう」といった意思から差別行動が生じうる。

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