日本学術会議の新会員任命拒否問題で、内閣府などに見解を問う野党合同ヒアリング(毎日新聞社/アフロ)

発足から約1カ月の菅義偉内閣であるが、前政権から少しずつ離れようとしつつも、その遺産の継承に苦しんでもいる。

前政権から離れる傾向としては、1つには厚生労働省とのパイプを強めつつあることがある。加藤勝信官房長官は前厚労相であり、現厚労相は、この分野を知悉している田村憲久氏である。そして首相秘書官に厚労省からの出向者を加えた。これは前例のないことであるが、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期したいという首相の意図が読み取れる。

また、首相補佐官に共同通信社の柿崎明二氏を抜擢した。柿崎氏は政策評価・検証担当であり、不祥事や危機管理の事後検証の際に役割を発揮することとなる。これは、将来起こりうる検証作業を進める際に、メディアと決定的には対立しないという意思表示でもあるだろう。柿崎氏は前内閣に対する厳しい論調でも知られている。その意味で、この政権は当面、前内閣以来の不祥事に対して、弁護に終始するわけでもないように見える。

さらに、官邸で半ば乱立気味の政策会議を整理する方針が表明されている。とくに未来投資会議の機能を縮小し、経済財政諮問会議との重複を減らすことが既定となった。政権幹部によれば「役割をすっきりさせる」ということだが、この会議を下支えした経済産業省の官僚の影響力が低下することはほぼ間違いない。そもそも今井尚哉前首相秘書官などの経産省出身の官邸官僚が実質的に官邸から退去したことから、そうした動きは加速するであろう。

このように、一方では新しい官邸の態勢が整備されつつあるが、他方で今後の内閣の進む道を考えるうえで、政権運営のほころびがしだいに大きくなっているようでもある。