ブループリント 「よい未来」を築くための進化論と人類史(上・下)(ニコラス・クリスタキス 著/鬼澤 忍、塩原通緒 訳/ニューズピックス/各2300円+税/上296ページ、下339ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] Nicholas A. Christakis 1962年、ギリシャ人の両親の下、米国に生まれる。米イェール大学ヒューマンネイチャー・ラボ所長。医師。人のつながりが個人と社会に及ぼす影響を解明したネットワーク科学の先駆者として知られる。米国を代表するビッグシンカーの一人。

遺伝子という単語は、個人の傑出した才能について語るときに使われることが多い。社会や個人を語る際にこの単語を使用することはセンシティブな問題をはらむが、「○○の遺伝子」という言い方には、努力では容易に到達できない才能に対する憧憬の気持ちが込められているのがつねだ。

しかし、遺伝子を単に才能や特徴など個人レベルの違いの源泉とするのは、一面的な捉え方でしかないと本書は教えてくれる。本書によると、私たちの遺伝子には集団や社会を形成するのに必須となる設計図が刻まれている。そして、どんな集団も、その設計図に則(のっと)って共通の構造を形作っているというのだ。

この設計図、つまり遺伝子が形作る青写真のことを、本書では社会性一式(ソーシャルスイート)と呼んでいる。その構成要素には、アイデンティティ/愛情/交友/社会的ネットワーク/協力/内集団バイアス/学習などが含まれているそうだ。