ベートーヴェンが使っていたというチェンバロ。40年前に筆者がドイツ・ボンのベートーヴェンハウスを訪れたときに撮影した

9月19日から新型コロナウイルス感染症対策におけるイベント人数制限が緩和されている。収容率要件は100%以内となり、ほぼすべてのクラシックコンサート会場で、満席状態での公演が可能となった。秋のクラシックシーズン本番を迎えるに当たって、何よりの朗報だ。

そこで改めて注目されるのが、今年生誕250年を迎える作曲家のベートーヴェンだ。早速、公演予定を確認すると、何やら見慣れない曲目が目に留まった。ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第0番」とはいったい何だろうか。筆者のCDライブラリーにもなく、一度も聴いたことのないこの曲が、今年は何度も演奏される。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲といえば、第1番から第5番「皇帝」までの5曲が、ピアノ協奏曲史上屈指の名曲として親しまれている。ところが、21歳でボンからウィーンに移り住む以前の少年時代、1784年に、これらとは別の変ホ長調の協奏曲が作られていたようだ。さらには、自作の「バイオリン協奏曲」をベートーヴェン自らがピアノ協奏曲に編曲した作品もある。