でぐち・はるあき 1948年生まれ。京都大学卒業。日本生命入社。2008年ライフネット生命開業。18年から現職。近著に『還暦からの底力』『哲学と宗教全史』『全世界史(上下)』など。(撮影:梅谷秀司)

著書『還暦からの底力』で60歳以降のパワフルな生き方を説いて反響を起こしたのが、出口治明・立命館APU学長だ。60歳でライフネット生命を開業したほか、膨大な量の読書を通じ、古今東西の人生を見渡してきた経験を踏まえ、政府が主導する定年延長には問題があると訴える。

──来春から企業には、従業員が70歳になるまで雇用機会を確保する努力義務が課されます。

これは決して悪いことではないが、政府が年金の支給開始年齢と企業を退職する年齢とをシームレスに合わせたいという、ご都合主義で考えているのが本質ではないか。そもそも僕は定年制自体を廃止すべきだと考えている。定年制を含む日本の労働慣行が成り立ってきた前提条件が、今や崩れてきているからだ。

高度成長時代には売り上げ増加に見合う人材確保が必要で、慢性的に人材が不足していた。そこで企業は新卒一括採用で囲い込んだ社員を、同業他社同士で引き抜かないとの暗黙のルールを作った。

僕は1972年に日本生命に入社したが、当時は会社を辞めて同業他社に移るなどというのは、御法度の時代だった。