言論の不自由 香港、そしてグローバル民主主義にいま何が起こっているのか(ジョシュア・ウォン、ジェイソン・Y・ゴー 著/中里京子 訳/河出書房新社/1600円+税/237ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] Joshua Wong 黄之鋒 1996年生まれ。2018年、雨傘運動で果たした指導的役割によりノーベル平和賞候補に推薦された。100日以上の服役を経験。
Jason Y.Ng 香港有数のノンフィクション作家。

2017年から香港特別行政区行政長官選挙を普通選挙で行うという約束を、14年に中国政府が反故にしたことに反発する市民らが行った抗議活動、「雨傘運動」は、日本でも大きなニュースになった。この運動で中心的な役割を果たした組織が「学民思潮」だ。本書はこの学民思潮のリーダーのひとり、ジョシュア・ウォン(黄之鋒)による著作だ。

彼の政治活動は14歳にして始まる。香港政府が導入しようとした「国民教育」という中国共産党のプロパガンダ教育制度に反対の声を上げ、11年に学民思潮を結成したのだ。結成の中心メンバーには日本で有名なアグネス・チョウ(周庭)も含まれている。このときの抗議活動には10万人以上の市民が参加し、香港政府は「国民教育」義務化の無期延期を余儀なくされた。

本書では、この若き民主派の闘士の人となりが、彼自身の言葉の中に表れている。ディスレクシア(読み書き障害)というハンディキャップを負いながらも両親の惜しみない愛情を受けて育ち、それを克服した少年時代。「機動戦士ガンダム」の大ファンでもあり、現代のオタク文化に傾倒する一面はほほえましい。