世界経済は今も、新型コロナウイルス感染症の拡大から大きな影響を受けている。全体像はまだわからないが、今後さまざまなデータや研究成果から、少しずつ明らかになっていくだろう。

今回、日本や米国をはじめとする世界の株式市場は、3月に暴落したもののすぐに回復した。米国のS&P500指数は7月に年初来でプラス圏に入り、9月2日に年初来高値をつけている。2007年に起きた世界金融危機の際に株価が下落し続けたことからすると、現在の株価は不思議なほど安定している。本稿では、こうした非常時の株価(より厳密には、株価の市場平均)の形成について、経済学でどのように考えるのかを取り上げたい。

すでに利用している読者も多いかもしれないが、つみたてNISAの制度が18年に開始された。これは、株式などリスク資産への長期・積み立て・分散投資の利益を非課税にすることで、投資による資産形成を促す制度だ。株式投資の収益率は銀行預金のような安全資産の利子率に比べ非常に高い。この安全資産との収益率の差を、株式の超過収益率という。諸説あるが、株式の超過収益率は多くの先進国で5%程度といわれている。そのため、株式投資にはリスクがあるものの、銀行預金しか保有しない場合と比べて長期的には資産を殖やすと考えられている。

コロナショックのような感染症の流行、金融危機、大震災、世界大戦、気候変動など、頻繁には発生しないが一度発生すると経済に深刻な被害を与える現象は、「レアディザスター(以下、大惨事)」と呼ばれる。この大惨事の可能性は、株式の超過収益率を高める重要な要因とされている。そのメカニズムは次のとおりだ。