エンジン関連の部品は確実に減る(写真はトヨタの元町工場)。

EVをはじめとする電動車が普及していけば、エンジン関連や駆動系など一部の部品は不要になる。経済産業省の試算によると、エンジン車で約3万点ある部品のうち、EVでは約1.1万点が不要となる。従来部品を主力とする既存部品メーカーは淘汰の波にのまれるのか、それとも将来の収益柱を見つけられるのか──。生き残りへの戦いが始まっている。

「当社にとって電動化は地殻変動。もし何も対策をしなければ、いずれ売り上げは半分程度になってしまう」。ホンダ系列の部品サプライヤーである武蔵精密工業の大塚浩史社長は、危機感をあらわにする。現在主力とするエンジン部品のカムシャフトやトランスミッション(変速機)のギアは、EVでは不要なため、電動化の影響は大きい。

しかも同社は売り上げの3割を欧州事業が占める。欧州は世界で最も環境規制の強化が進んでおり、ほかの地域に先駆けて電動化が進む。北米などを主力とする大半の日系サプライヤーに比べ、同社はこの点でも電動化の影響をいち早く受ける収益構造なのだ。株式市場ではこうした点が嫌気され、同社の足元の株価は、ピークだった2018年5月と比べて半分程度にまで下落している。

ただ、大塚社長は「電動化時代の到来はチャンスでもある」と強調する。その自信の根拠は、EVの基幹部品の1つである減速機に使われるギアだ。減速機はエンジン車の変速機に比べて構造がシンプルなため、部品点数は減る。一方で、静粛性や軽量化などの付加価値が従来以上に求められ、部品の単価は上がるという。

「(すり合わせの要素が減る)EVでは取引先がオープンになり、販路を拡大しやすくなる。会社の成長につながる大きな市場が広がっている」(大塚社長)。現在10%程度の電動車向け部品の比率を、3〜4年後に25%にまで引き上げるのが当面の目標だ。