5月、スペースX初の有人宇宙船打ち上げの成功を喜ぶマスク氏(ロイター/アフロ)

起業家であるイーロン・マスク氏が、情熱を傾けるのはEVだけではない。宇宙輸送サービス、脳埋め込みデバイス、超高速の地下輸送トンネルなど、SF小説のような事業を本気で実現しようとしている。常人の理解の範疇を超える行動原理を、これまでの発言から解読してみよう。

「将来地球に恐ろしいことが起こったときに備え、生命にとっての『生命保険』が必要だ」。今年8月に開かれたイベントで、マスク氏は熱く語った。「生命保険」とは、同氏がCEOを務めるスペースXが今世紀中の実現を目指す、火星移住のことだ。

人類を「惑星間種族」へ

2002年、共同創業したインターネット決済サービスのペイパルを売却して設立したのが、宇宙事業を手がけるスペースX。再利用できる宇宙船の開発により、安価な宇宙旅行サービスの提供を目指している。今年夏には、その一歩として民間の有人宇宙船では初めて国際宇宙ステーションへのドッキングを成功させた。

「人類存続のためには、火星にコロニー(居住地)を建設する必要がある」とマスク氏は言う。17年、学術誌に掲載された同氏の論文によれば、人類の滅亡を回避するには「宇宙に文明を築き、人類が惑星間種族となる」必要がある。複数の惑星や衛星を移住先として検討した結果、最も有望なのが火星なのだという。