上海に建設されたGF3。中国で外資初となる独資の自動車工場だ(アフロ)

国策としてEVなど新エネルギー車(NEV)の普及を進めたことから、ガソリン車だけでなくEVでも世界最大の市場となった中国。ただ補助金の減額や新型コロナウイルスの影響で、2020年1~8月のNEVの販売台数は前年同期比26%減の59.6万台となった。

ところが、そんな状況下でも躍進しているのが米テスラだ。同時期の「モデル3」の販売台数は、6万8579台(19年1〜8月は1万4439台)と車種別でトップに立った。EV全体の販売台数でも、これまで上位を占めてきたBYDや北京汽車を抜いた。

テスラが中国で販売を伸ばしているのは、巨大工場「ギガファクトリー(GF)3」が稼働し、供給能力が増えたことが理由だ。そしてGF3の建設には政府の手厚い支援があった。テスラは17年から現地生産するための交渉を中国政府と進めてきたが、当初は困難を極めた。外資企業による中国での自動車生産を、地場企業との「合弁」でのみ認める政府の産業政策に対し、テスラが「独資」にこだわったことが一因だった。

しかし18年6月、中国政府は大胆な市場開放政策を打ち出し、EV市場における外資の出資制限を撤廃した。これを受けてテスラはGF3を独資で上海に建設した。

驚くのはその建設スピードだ。19年1月の着工から11カ月で生産を開始した。短期間で操業できたのは、上海市の支援によるものとみられている。新型コロナの影響で操業を停止した際も、GF3がある上海臨港新区の幹部が派遣され、中国自動車業界で最も早い2月10日に操業を再開できた。

狙いはEV産業の育成