異常事態の発覚で緊急会見を開いた三井住友信託銀行(撮影:尾形文繁)

「信託銀行のことはすごく『堅い』と思っていただけに驚いた」──。アクティビストや外国人投資家の台頭で議決権への注目がますます高まる中、株主総会に詳しい弁護士すら驚かせるずさんな集計実態が明らかになった。

9月24日。三井住友信託銀行とみずほ信託銀行はそれぞれ緊急記者会見を開催、顧客企業の代理人として株主から郵送で受け取った議決権行使書について、一部で不適切な取り扱いがあったことを認めた。影響は少なくとも1346社に及んでいる。

事の顛末はこうだ。三井住友信託とみずほ信託は、両社が折半出資する日本株主データサービス(JaSt)に議決権行使書の集計を委託している。JaStは株主総会が集中する3月、5月、6月について、同社への配達を担当する郵便局に依頼し、翌日に届く予定の郵便物を、配達予定日の前日の朝に届けてもらう「先付け処理」という特別な取り扱いをしていた。今年については新型コロナで延期になった株主総会もあったことなどから、7月も繁忙期として「先付け処理」を行っていた。

一方、郵便物が到着した日を証明する「交付証」は、本来到着する予定だった日付のものを受け取っていた。

ある郵便局員によると、局によって違いはあるものの、郵便局では午前7時ごろまでに区分局から届いた郵便物が当日配達されるという。つまり、朝7時以降に到着した郵便物は翌日配達になる。先付け処理では、朝7時以降に到着し翌日配達予定だったものを先に届けてもらっていたのではないかと思われる。