独立独歩を信条としてきたホンダが大きな路線転換に踏み切った。今年9月、収益柱の北米市場で米ゼネラル・モーターズ(GM)との包括提携を検討する、と発表した。北米向け車両のエンジンやプラットホーム(車台)の共通化、部品の共同購買など、既存の車の競争力を左右する領域にまで踏み込んだ内容だ。GMとは2013年に燃料電池車、18年に自動運転など徐々に提携範囲を広げてきたが、それらは将来技術の開発のためのものだった。

ホンダが異例の決断をした背景には、苦しい台所事情がある。

米カリフォルニア州が35年までにエンジン車の販売を禁止すると発表するなど、欧米を中心に「脱エンジン」の動きが加速している。自動運転など新技術の開発も盛んになっている。それらに対応するためには、巨額の資金が必要だ。年間8000億円の研究開発費を投じるホンダですら、十分とはいえない。

今年8月に欧州でEV「Honda e(ホンダe)」を発売したが、これは環境規制をクリアするための車。年間販売目標は1万台にすぎず、開発費の回収は困難だ。自動運転などでコアになるAI(人工知能)やIT技術などの出遅れも指摘されており、中国のAIベンチャー企業と共同開発を始めるなど、近年は外部との提携に頼らざるをえなくなってきた。

「ホンダ e」の国内販売価格は451万円から
5つのディスプレーが特徴の1つ