週刊東洋経済 2020年10/3号
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驚異的な視聴率をたたき出したTBSのドラマ「半沢直樹」。経営難の「帝国航空」をめぐって、銀行に巨額の債権放棄を迫る女性国土交通相と「帝国航空再生タスクフォース」に対し、債権放棄の回避に向けて、東京中央銀行の行員・半沢が悪戦苦闘する物語だ。モデルになったのは10年前の日本航空(JAL)の破綻劇であることは言うまでもない。

元キャスターの白井国交相のモデルは、当時の前原誠司国交相とも、やはり元キャスターの蓮舫参議院議員ともいわれるが、10年前、実際に銀行団と向き合ったのは、国交副大臣で日本航空再建対策本部事務局長だった辻元清美衆議院議員だ。インタビューにあるように、はじめから「法的整理」を確信していた辻元氏と、「私的整理」で走っていた銀行団は、激しくぶつかり合うことになる。

「銀行には何度も集まってもらって交渉した。その会議がいちばんしんどかった」と振り返る辻元氏。「JALを甘やかしてきたのは国交省」「経営破綻する会社に追加融資はできない」と突き上げられたが、会議の後、最も激しく当たってきた行員からアメ玉を差し出されたときには、涙がこぼれそうになったという。

「厳しい交渉で当時はやせ細っていた。でも去年、パーティーでアメ玉をくれた人と話す機会があった。『銀行団として最初は本当に何なんだと思っていたが、あれでよかった』と言ってくれた」(同)

そしてもう一方の悪役、「帝国航空再生タスクフォース」のモデルとなった「JAL再生タスクフォース」でサブリーダーだった経営共創基盤の冨山和彦代表も、当時を生々しく振り返る。

「当時のJALの資金繰りは本当に厳しかった。彼らがそれを自覚していないことにも愕然とした」

2009年9月、国交省に呼ばれたJAL幹部。破綻劇が幕を開ける

当時のJALは人件費が高止まりし、運航効率の悪いジャンボ機を主力に据えるなど、採算意識の低い経営が常態化していた。そこへリーマンショックが襲いかかり、2009年夏以降、格付け機関が相次いでJALを格下げ。燃料を買うための保証金の積み増しも要求され、手元資金は急減する。