新型コロナ危機の非常事態の下、菅義偉新政権が発足した。安倍晋三前首相の辞意表明からわずか3週間弱でのバトンタッチだが、新政権は早くも「縦割り行政の打破」を旗印に規制改革の独自色を打ち出しつつある。

「5つのポイント」に沿って今後を読み解いていこう。

たたき上げ首相の哲学

第1は、菅首相は「『自助』が大好き」という点だ。自民党総裁選挙では「自助・共助・公助」を理念に掲げたが、その実、圧倒的に自助への思いが強いと多くの関係者が指摘する。高校卒業後、上京して工場で働き、大学を卒業した後は会社員、政治家秘書、横浜市会議員を経て国会議員になった。菅首相をよく知る官僚幹部は「生きざまとして、まずは自分でやれという強いものを持っている」と語る。

前政権は安倍首相や麻生太郎副総理を筆頭に、華麗なる政治家一族の出であるエリート内閣の趣が強かった。新体制では、主軸となる菅首相、二階俊博自民党幹事長とも非世襲のたたき上げだ。

自助を志向する菅政権の哲学は、政策の規範となって幅広く影響を及ぼす可能性が高い。例えば過去に菅首相が注力した政策でも、ふるさと納税やコロナ対策「Go Toキャンペーン」は内容そのものへの批判は強いが、「頑張った者に報いる」という点では一貫し、ばらまき型とは一線を画す。

政権発足直後から慌ただしく動き出した縦割り行政打破の取り組みでは、菅首相の期待が大きい河野太郎行政改革・規制改革担当相が「今までの行政改革はコストをそぎ落とすものだったが、今度は国民や社会から見て新しい価値が生まれるような規制改革を中心にする」と語る。中小企業や地方経済の活性化が課題となる中で、新ビジネスを生み出す規制改革が志向され、助成事業でも設定された課題に取り組む事業者へ補助金を出すという方法が好まれそうだ。