(撮影:今井康一、尾形文繁)

アフターコロナの時代、「3密」を防ぐためには通勤電車の混雑緩和が必要だ。「満員電車ゼロ」を選挙公約に掲げて当選した小池百合子・東京都知事は、都内の企業にオフピーク通勤を促す「時差Biz」キャンペーンを開始したが、効果は上がらなかった。

そこで、鉄道会社側の混雑緩和策として新たに浮上したのが「変動運賃」案だ。ピークを避けて乗車すると運賃が割安になるという仕組みで、諸外国では導入済み。その代表例は英ロンドン地下鉄だ。平日6時半〜9時半、16〜19時をピーク時間帯、それ以外をオフピーク時間帯として、運賃に差をつけている。IC乗車カード使用時におけるピークとオフピークの運賃の差は距離によって異なり、割引率は17%、41%などと変動する。

「生活スタイルに合わせて運賃のあり方を変える」

JR東日本 社長 深澤祐二(ふかさわ・ゆうじ)1954年北海道生まれ。78年東京大学法学部卒業、日本国有鉄道入社。87年JR東日本入社。投資計画部長、人事部長、副社長などを経て2018年から現職。(撮影:尾形文繁)

日本における変動運賃導入について口火を切ったのはJR東日本だ。「通勤電車の利用のピークは朝の出勤時と夜の帰宅時にあったが、現在は朝のピークの山が従来の半分くらいになり、その分だけピークの前後の時間帯が増えて台形のような形になっている。夜も終電ぎりぎりまで多くの人が乗っていたが、より早い時間帯に利用がシフトしている。こうした生活スタイルの変化に合わせて運賃制度を変えていきたい」と、深澤祐二社長は7月14日に行われた本誌の取材で明かした。

ロンドン地下鉄は定期券にピーク、オフピークの区別を設けていないが、深澤社長は、「今のピーク時間帯は定期の利用者が多いのでまず定期でと考えている」という。日本では通勤定期代を会社が支給するケースが多いので、企業が経費削減手段としてオフピーク利用に飛びつく可能性は高い。