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中国「ワクチン外交」が試す大国の器 供給先国に尊大な姿勢を見せれば逆効果に

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新型コロナウイルスのワクチン開発が進む中国。国内の患者が少ない中で取り組む意図は。

新型コロナワクチンの臨床試験が海外で進む。写真は中国企業のシノバックがブラジルで治験中のワクチン(ZUMA Press/アフロ)

新型コロナウイルスのワクチン開発をめぐり、中国では早ければ11月にも一般人への投与が可能との見通しが語られ始めた。層の厚い開発力、生産力を武器に開発したワクチンで、国際的な影響力を高めたい思惑だが、新たなワクチンの海外への提供には難問も多く、一筋縄ではいきそうにない。

「現在、中国の4種類のワクチンが第3相臨床試験に入っており、経過は順調。早ければ11月にも一般人への投与を開始できる」。9月14日、ワクチン開発に携わる責任者はテレビ番組でこのように語った。第3相臨床試験とは、ワクチンを実際に人に投与して効果や安全性を試すもので、いわば最終確認の段階だ。しかし現状、中国国内では新型コロナ感染者は国外からの入国者を中心に散発的に確認される程度。そのため国内では臨床試験が行えず、感染状況が深刻なブラジルや中東諸国などで実施しているのが実情だ。

中国では今年7月からすでに国内の医療従事者や軍・警察、税関・検疫関係者などを中心に緊急措置としてワクチンの試験的投与を始めている。これら感染リスクの高い人員はともかく、現時点ではすべての一般人に投与する必要はないことは専門家も認めている。自分がワクチンの投与を受けるかどうかは市民の間でも意見が分かれており、現状のような対策で感染が防げるならワクチン投与は不要、との見方も少なくない。

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