エールフランスの総2階建て旅客機エアバスA380。コロナ禍により保有する全機が退役した(時事)

新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、あらゆる交通機関の需要が一気に蒸発してしまった。各国政府はあの手この手で救済を図ろうとしているが、コロナ禍の終わりは見えず、財源には限界がある。

そうした中、海外では鉄道業界と航空業界の両方を一体的に考える再建案が生まれつつある。折しも世界的に地球温暖化をはじめとする環境問題への懸念が高まる昨今、コロナ禍を機に「過去のしがらみ」や「既存資源の温存」ではない形でドラスティックな変革を目指そうという動きが出てきている。

国際航空運送協会(IATA)が7月末に発表した「世界の乗客予測」によると、航空旅客需要がコロナ禍以前、つまり2019年の水準に戻るのは、今から4年後の24年になるという。短距離路線は中・長距離路線より回復が早いものの、それでもコロナ禍前のレベルに戻るには23年までかかると予測している。

こうした予想を受け、欧州主要国の代表的航空会社(いわゆるフラッグキャリア)は自国政府に救済を求めると同時に、需要回復に時間を要する長距離路線関連の経営資源を一気に縮小する動きに出た。これまでに仏エールフランスは70億ユーロ(約8200億円)、独ルフトハンザが90億ユーロ(約1兆0800億円)相当の支援を確保している。

一方、「損切り策」としては、英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)、エールフランス、ルフトハンザの3社が軒並み大型長距離機材の退役を決めたことが挙げられる。BAは保有するボーイング747-400型(ジャンボ)全31機の廃棄を進めているほか、エールフランスは2階建てエアバスA380全10機、ルフトハンザも同型機を退役とした。さらに、数万人削減という大規模な従業員のリストラも進めている。