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米国の医療格差の真実 なぜ「国民皆保険」は難しい?

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医療が原因で生活困窮。共和・民主で制度のあり方をめぐり全面対立が続く。

米国の医療格差は生命の格差に直結している(AP/アフロ)

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米国の医療格差の実態は、マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画『シッコ』によって世界的に有名になった。映画が上映された2007年当時、米国では医療保険に加入できない「無保険者」が4000万人規模に達していた。

保険に入っていても高額な医療費負担に耐えられず自己破産に追い込まれる人たちも多かった。その後、オバマ政権が医療保険制度改革(いわゆる「オバマケア」)を進め、すべての国民に、医療保険加入の道筋が作られた。しかし、現在も3000万人近い無保険者が存在し、今回の大統領選挙でも、医療格差是正は争点になっている。

米国ではなぜほかの先進国のように、リーズナブルなコストで適切な医療を受けられる国民皆保険を実現できないのか、Q&A方式で謎を解く。なお内容は、米国の医療制度史に詳しい南山大学の山岸敬和教授に監修してもらった。

Q1. 米国人にとって、医療費の負担はどのくらい重いのか。

経済協力開発機構(OECD)の発表によれば、国内総生産(GDP)に占める医療費の割合(18年)で、米国はOECD加盟国中で首位。その比率は16.9%に達し、加盟国平均(8.8%)の倍近い。GDPに占める医療費の割合は年々高まり続けており、米国人の家計を圧迫している。

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